対馬全カタログ「食」
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2022年7月17日
mountain mountain 天然酵母パン
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天然酵母と対馬小麦が奏でる
パンの美味しさ、プラス地産地消!
これが“対馬ブレッド ”
天然酵母と小麦の力を最大限に活かして
 2017年(平成29年)秋、廃校となった内山分校の給食調理室でスタートしたmountain mountain。その切っ掛けは、対馬小麦との出会いだった。
 その風味の豊かさに驚いた米田凡実(こめだなみ)さんは、その魅力を最大限引き出すために、国産小麦とのブレンド率を追究し、柔らかな甘みを生み出す天然酵母を使い、発酵はじっくり低温で行う。手間と時間は掛かっても、とにかく美味しさを追求した。
 酵母の甘味、小麦の味わいを楽しんでもらえるよう、添加物はもちろん砂糖もほとんど使用していないという。ドーナツでさえ生地の甘みを控えめにして砂糖は軽くまぶす程度、しっかりパン生地の美味しさを味わうことができる。大手のドーナツショップのドーナツとは明らかに一線を画す。
山型食パン:通称「山食」
パンの種類は豊富。さらに増え続けている
 mountain moutainはオープン日、オープン時間、販売するパンの種類などをインスタグラムhttps://www.instagram.com/tsushimamountainmountain/?hl=jaで告知している。ページには内山で始めた頃からの写真が掲載されているが、パンの種類の多さに驚く。
 毎回同じものが棚に並ぶわけではなく、手に入った食材を活かせるようレシピを考える。創作パンも多く、客からすれば今日はどんなパンに出会えるだろうと、mountain moutainに行くその日が楽しみになる。
 例えばある日のラインナップを紹介すると、山食、カンパーニュ、メロンパン、ツナメルト、ブルーベリーチーズフォカッチャ、シュークリームなど。
 一人でつくるので、一度にそれ程たくさん作れない、それ程多くの種類も作れないが、今までに焼き菓子も含めると60~70種類は棚に並んだという。
ある日のmountain moutainのパンたち
作り手が楽しんでいるからこその・・・
 凡実さんは神戸や福岡の洋菓子店で働き、「いつかは対馬で自分の店を」という思いをもって帰島した。そして、その夢にチャレンジするきっかけとなったのが、対馬小麦との出会いだった。
 そのパン作りも徹底している。冷凍物や添加物は使わず、可能な限り自分でやる。パンに練り込むジャムから自分でつくる。サバのサンドイッチは、サバを3枚におろすところからはじめる。だから仕込みに時間がかかってしまう。
 特に緊張するのが発酵工程だという。発酵がうまくいったかどうかは焼き上がってから、揚げ終わってからわかる。天然酵母という自然の生き物相手なので、いつもこちらの思惑通りにいくとは限らない。「毎回ドキドキ」だ。
 mountain moutainのパンは、そんな作り手のドキドキ、ワクワクが伝わってくるパン、と言ってもいいかも知れない。
内山からはじまり、佐須奈へ
 旧内山分校の給食調理室をつかったmountain mountainは、2017年秋から2020年7月まで、月に3、4回のペースで営業した。ファンは確実に増えていき、そして誰もが閉店を惜しんだ。
 第2期のスタートともいうべき2021年10月のオープンは、なんと佐須奈で、だった。「内山時代にわざわざ上の方から来てくださるお客様もいたので」とのこと。店名は「mountain mountain west」。「west」は、佐須奈が対馬の西面(西側)にあることからという。月に1回か2回のペースでオープンし、それは現在も続いている。
内山では校舎を活かしてカフェも併設した
「west」は、この小さな看板が目印
2022年、満を持しての厳原町日吉店オープン!
 佐須奈の店に「west」を付け、営業を月に1、2回のペースにしたのは、当初から2拠点展開の計画があったからだった。
 2022年7月、本拠点ともいうべきmountain mountainが、厳原町日吉でスタートした。これによって「週に5日働いて、1日か2日だけ開ける」を可能にするカタチ、態勢は整った。
 インスタグラムのプレオープンあいさつ文は、こう締めくくってある。「対馬の山々と大地と海の恵みを一つのパンに詰め込んで、また食べたいと思っていただけるようなそんな商品を作っていけたらと思っています。仕込みに時間をかけたいので営業日数は多くありませんが、楽しみにお待ち頂けると幸いです。」
プレオープン日のパン棚
賑わうプレオープン
再び、対馬小麦
 2022年のオープンと歩を合わせるように、もう一つのプロジェクトが進行していた。ジビエと皮小物のdaidaiが始めた代々農園が栽培する対馬小麦を、mountain mountainで使用するというものだ。初収穫が2022年6月。オープンの1カ月前だった。
 まだ収穫量が少なく、一部のパンにしか対馬小麦は使えない。さらに一年中使えるとは限らないが、これから少しずつ、パンとの相性を見極めながら、対馬小麦使用のパン種を増やしていくそうだ。そして、そのパンにははっきり「対馬小麦使用」を明示したいという。
対馬小麦:小麦がいつ頃対馬に伝わったかを判断できる史料にはまだ出会わないが、「かすまき」が誕生する以前、江戸時代前半には栽培されていたのではないだろうか。そこから品種改良を行っていないので、 江戸時代の風味、個性が生きている  写真提供:daidai
「これからも“対馬”を大切にしていきたい」
 これまでも地産地消を意識して、サンドイッチに対馬産のサバ、ファカッチャに対馬産ブルーベリーや猪ソーセージ、シフォンケーキに対馬大石農園の紅茶など、思いついては試作し商品化してきたそうだ。
 そして今後、ジビエ肉や原木椎茸賀佐ゴボウなども使ってみたいという。「対馬を発信するというような意気込みではなく、ごく当たり前に対馬の食材を使っていきたい」という。
 持続的な地域経済のために地産地消は欠かせない。そして、それが「海の豊かさを守る」「陸の豊かさを守る」につながっていく。対馬の自然の一部を、mountain mountainのパンでいただく。島に住む人間にとっても、観光で訪れた人にとっても、それはとてもラッキーなことではないだろうか。
振興局の近く。4台分の駐車スペースがある
mountain mountain
対馬市厳原町日吉292-1
mountain mountain west
対馬市上県町佐須奈
インスタグラム:https://www.instagram.com/tsushimamountainmountain/?hl=ja
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