対馬全カタログ「特産品」
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2021年2月14日更新
対馬紅茶
【つしまこうちゃ】
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自然農法&獣害にも強い。
対馬の新しい特産品、
つしま大石農園の「対馬紅茶」
対馬でお茶栽培をはじめた理由
 つしま大石農園は上県町佐護、国道382号線から仁田ノ内地区に入る、その入口となる橋の前にある。付近に茶畑はなく、普通の農家を少し拡張したくらいの社屋だ。
 代表の大石孝儀氏は、元長崎県の農業技術指導員で、退職を機に「対馬に新しい産業を興したい」という思いから、対馬の現状や自然環境等を考慮した起農プロジェクトを考えた。
 それが、お茶とゆずの栽培だった。どちらも山の斜面で栽培できるので、土地面積の約90%が山林という、山の多い対馬には最適。シカやイノシシが食べないので獣害にもあわず、シカが下草を食べるので無農薬で栽培できる。いいことづくめのプロジェクト案だった。
 栽培茶種には、国産紅茶の母とも言われる「紅ほまれ」とダージリン系「枕Cd86」を交配して作られた品種「べにふうき」を選んだ。緑茶として飲めば花粉症に効果があるといわれている、メチル化カテキンを含むお茶だ。
緑茶から紅茶へ方向転換
 2006年、まず適当な土地を探し、山を切り開いて茶畑用に圃場を整備。2007年に茶樹を植えた。初摘採は3年後の2010年。入れてみると期待通りに渋かった。この渋さが花粉症に効くと知っての「べにふうき」だったが、渋過ぎて、期待に反して売れなかった。
 そこで、茶葉を発酵させて紅茶にしてみようということになり、紅茶にすると期待以上に美味しかった。コクがありながらも渋みや雑味がなく、円熟したまろやかな味わいで、リンゴのような香りが広がり、ほのかな甘みが残る。花粉症への効果はなくなるものの、ストレートティーに最適な茶葉だった。
発酵後の「べにふうき」の茶葉
国産紅茶のコンテストで金賞を受賞!
 紅茶の専門家から、対馬紅茶「べにふうき」は国産紅茶の中でも5本の指に入ると評価され、それを自信にさまざまなコンテストに挑戦したそうだ。「シングルオリジンティー・フェスティバル」で金賞、「ジャパン・プレミアムティーコンテスト」で3つ星、「国産紅茶グランプリ」で金賞など、次々と高い評価を得ることができた。
 2016年から「つしま大石農園」をサポートしている孝儀氏の息子の大石裕二郎氏に、紅茶「べにふうき」について語ってもらった。
 「対馬は全体的に岩盤地層が多く、耕地面積も少ないですが、何千万年も前から繰り返された隆起と沈降などによって、ミネラルの豊富な土壌になったのではないでしょうか。それが「べにふうき」の美味しさにつながっているように思います。さらに無化学肥料にもこだわっているので、土づくりはしっかり行うようにしています。」
つしま大石農園の茶畑(5月)
2023年、対馬で「全国地紅茶サミット」
 「つしま大石農園」では、同業者とのネットワークづくりも積極的に行っている。その軸となるのが「全国地紅茶サミット」への参加だ。
 「全国地紅茶サミット」は講演会と試飲会で構成され、試飲会には全国各地の紅茶生産者がブースを構え、自慢の紅茶を提供する。第1回は2002年で、年に1回、産地持ち回りで開催されている。ちなみに2015年は伊豆の下田、2016年は奈良、2017年は熊本県水俣、2018年は愛媛県松山、2019年は愛知県豊橋、2020年は東京都檜原村で開催された。
 そして、2023年は対馬で開催される。「つしま大石農園」の参加は2015年からだが、積極的な活動が実ったようだ。サミット後は、対馬紅茶の知名度も上がり、さらに多くの人に対馬の「べにふうき」ならではの美味しさを味わってもらえるはずだ。
 2021年現在、対馬紅茶は「つしま大石農園」だけで生産されている。さらなる需要獲得、成功モデルの確立により、対馬紅茶が対馬の主要特産品の一つとしてとし定着していくことを期待したい。
<地紅茶(和紅茶)のこと>
 インドやスリランカ、あるいはヨーロッパから輸入するイメージが強い紅茶だが、日本各地でも栽培がおこなわれており、それを「地ビール」ならぬ「地紅茶」と呼び、それぞれの産地ならではの味わいを楽しむ。そんな紅茶の楽しみ方が紅茶ファンの間で広がっている。
 国内での紅茶の栽培は、明治時代、ヨーロッパの紅茶需要に注目した政府が重要な輸出品とするために紅茶づくりを奨励したのが始まりと言われている。1875年
(明治8年)には中国から紅茶製造技術者を招き、翌年には日本人をインドの産地に派遣して紅茶製造技術を学ばせたそうだ。一時は海外でも評価された日本の紅茶ですが、世界の紅茶市場での競争に勝てず生産は衰退していった。
 しかし現在、緑茶と比べると少量だが、日本各地でさまざまなタイプの「和紅茶」が作られている。緑茶品種の「やぶきた」が多く用いられている他、「べにかおり」「べにひかり」「べにふうき」など産地の環境に合わせた紅茶用品種も栽培されている。
<生産・販売>
つしま大石農園
〒817-1603対馬市上県町佐護東里1384
TEL:0920-84-5176
FAX:0920-84-5176
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