対馬全カタログ「特産品」
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2021年5月9日更新
つしまじねんじょ
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ホルモンDHEAを増やす!
と、再評価の自然薯を
自然にやさしい栽培法で生産
雇用対策としてスタートした自然薯作り
 自然薯といえば「山いも」ともよばれるように、山に分け入り苦労して見つけ掘り出すというイメージだが、もうかなり以前から畑で栽培できる農作物として認知されている。ただし対馬では栽培されておらず、対馬で手軽に口することはできなかった。
 意外にも、対馬で初めて自然薯を栽培することになったのは、なんと建設会社だった。そして、事業立ち上げの一番のモチベーションは、雇用対策だった。年間を通して安定的な仕事量がない離島の建設会社として、従業員を雇用し続けるために閑散期を乗り切るにはどうすればいいか。その答えが、自然薯栽培だった。
支柱が立ちネットが張られている自然薯畑
健康によく、自然にやさしい「つしまじねんじょ」
 ほかの食材にはない強い粘りで知られる自然薯。昔から滋養強壮によいと言われているが、カルシウム、鉄分、リン等のミネラル、ビタミンC、ビタミンEなどのビタミンや食物繊維も豊富だ。さらに最近では、自然薯に若さの維持や、免疫力アップ、ホルモンバランスを担うホルモン「DHEA (デヒドロエピアンドロステロン)」を増やす役割があることがわかった。DHEAは、成長ホルモン、若返りホルモン、長寿ホルモンとも言われ、若さを維持し、元気でい続けるために大切なホルモンで、大いに注目されているそうだ。
 また、野生の自然薯に比べて栄養はどうなのか、という疑問がわくと思うが、山口県衛生研究所の栄養分析によると、下の表のようになっている。減っているものもあれば、増えているものもあり、カルシウムや鉄分、ビタミンB1は倍以上も増えている。
※検査資料の栽培自然薯は、政田自然農園で栽培したもの
 健康志向の昨今、チャレンジしてみる価値があると、栽培を始めたのが2013年(平成25年)。栽培法としてクレバーパイプという自然薯栽培専用のパイプを使う政田自然農園の方法を選択した。さらに無農薬にこだわり、ツシマヤマネコ生息エリアの農業として自然にやさしい栽培法をめざした。だから、洗って土を落とせば、皮ごと擦って食べられるそうだ。
クレバーパイプを使った自然薯栽培イメージ
自然薯で忙しい4~6月は、建設業の閑散期
 何よりも建設会社にとってうれしいのは、自然薯づくりで忙しいのが、年度末までに本業を終わらせた後の閑散期、4~6月ということだ。
 4月に種芋を植え、5月に支柱・棚・ネットを設置し、6月にマルチシートを被せればほとんど完了。あとは12月~2月の間に収穫するだけ。収穫期が長いので大きな負担はないという。まさに建設会社と相性のいい作物だ。
 現在、作付面積は約5反。1反2500本の収穫を目標に、いかに効率的にパイプと種芋を植えていくか、また大雨に備えるためにどのくらいの畝の高さがベストか等、試行錯誤しながら最適解を追求しているそうだ。
 また、3年間自然薯を栽培すれば、地中にセン虫が発生し、対策を講じなければ壊滅状態になるという。対策としては畑を休ませること。休耕地を借り受けており、畑の面積には余裕があることからこの対処法を選択しているそうだ。
8月の自然薯畑
12月(葉や蔓がが枯れて2週間してから収穫をはじめる)
グレンゼファーム(国境農園)を立ち上げ、本格稼働
 スタート時は小規模で行い、贈答用として数百本だけを栽培した。その後、徐々に作付面積を増やし、現在では10,000本超を生産している。2017年(平成29年)に、自然薯部門として「グレンゼファーム」を立ち上げ、事業として本格的な態勢づくりを行った。
「grenze」とはドイツ語で、境界、国境。英語のborderと同じ意味だそうだ。全国にはないであろう、対馬らしい名称にこだわった。
 注文はホームページとファックスで受けているが、販売期間があるので注意してほしい。
販売期間は、12月~翌年2月まで(完売次第終了)、となっている。12月~3月の間で、冷暗所で乾燥しないように保存しておけば、1カ月はもつという。
グレンゼファーム
〒817-1521 長崎県対馬市上県町飼所823番地
TEL 0920-85-1717 / FAX 0920-85-1160
grenzefarm@shoudai.jp(担当:小宮・須川)
ホームページ:https://www.tsushima-jinenjyo.com/
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