日本最古の歴史書であり、天皇に至る日本神話を記述した『古事記』。その中の上巻最後に登場するのが、山幸彦・海幸彦の諍いごとに端を発し、山幸彦と豊玉姫が出会い、結ばれ、 鵜草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)を生み、その子が初代天皇(神武天皇)の父になるという話だ。
その豊玉姫がいた竜宮が、ここの和多都美神社というのが、ここの由緒になっている。
豊玉姫を祀る神社は、Wikipediaを見ただけでも全国に32社もあるが、『古事記』の内容を由緒とする神社はここ、仁位の和多都美神社だけだった。また対馬には10社ほど和多都美神社があるらしいが、その多さは他の地を圧倒しているしている。
これからも対馬の神々が、日本神話で重要な役を与えられていることがわかる。ただし、郷土史家の永留久恵氏が指摘するように、由緒の内容は『古事記』のストーリーに合わせて書き換えられたと考えた方がよさそうだ。
「豊玉姫の墳墓」といわれる岩群も、永留氏によると墳墓ではなく神を祀る磐座とのことだ。